bluesoyaji’s blog

定年後の趣味、大学入試問題の分析、国語の勉強方法、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

国公立大学二次試験 2016年 東京大学 文科 前期 大学入試問題 国語 「反知性主義者たちの肖像」内田樹

 

2016年 東京大学 文科 前期 国語

「反知性主義者たちの肖像」内田樹 

 

 河合塾のサイトで見ることができます。

東京大学

http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/16/t01.html

 

反知性主義について、引用を用いながら筆者の考える知性との対比で、その定義を行い、批判した文章です。


対比や具体例を用いた文章なので、丁寧に読みとっていけば、筆者の主張の理解はできます。

あとは設問に対する解答の文章力が求められます。本文の要約や言い換えで、適切な字数に収める訓練が必要です。

 

内田樹先生といえば、西宮にある神戸女学院大学の先生を勤められた方。

最近では、マンガ「うつヌケ」田中圭一 角川書店 にもご自身の体験が取り上げられていて、興味深く拝見しました。

この内田先生の文書を出題したことは、東大生になる受験生に対し、反知性主義者になってはいけないというメッセージが込められているのではないでしょうか。


東大生は将来、為政者や権力者に近いところで働いたり、あるいは、権力を持つ立場になったりすることが多いので、ちゃんと考えていて欲しいというねらいがあると思われます。


「ひたむきな知的情熱」を持つのは、間違いなく東大生が一番ですから。

 

2015年9月には、現政権が「安保法案」を通しています。政権への批判が東大の先生方の中で強かったのだろうと思います。

 

大学入試に世間の動きが関係しないはずがありません。教科の受験勉強ばかりしていると、世間の動きに無関心になり、それこそ「反知性主義者」になる可能性ができてしまいます。

 

せめて東大に入る受験生には、社会の問題に対する鋭い意識を持っていて欲しいという大学教員の願いがあったのだと考えます。

 

この2016年には、東京大学だけでなく、大阪大学でも、「反知性主義、その世界的文脈と日本的特徴」白井聡 という文章が出題されています。

 

阪大もか!と驚きましたが、さらに大阪大学の国語の2問目は、なんと内田樹先生の「街場の戦争論」でした。

 

大阪大学
http://kaisoku.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/16/ha1.html


どれだけ「反知性主義」推し?「内田樹」推し!


旧帝大が2校もそろって、これですよ。
受験生なら、この問題は必ず読んでおきましょう。

 

出典を調べてみると、さらにおもしろいことがわかりました。


東大、阪大の「反知性主義」の文章は同じ本からの出題でした。


アマゾンのリンクを張っておくので、興味のある方は一読してみてください。

 

 

日本の反知性主義 (犀の教室)
晶文社
 

目次

反知性主義者たちの肖像 内田樹
反知性主義、その世界的文脈と日本的特徴白井聡
「反知性主義」について書くことが、なんだか「反知性主義」っぽくて
イヤだな、と思ったので、じゃあなにについて書けばいいのだろう、
と思って書いたこと 高橋源一郎
どんな兵器よりも破壊的なもの 赤坂真理
戦後70年の自虐と自慢 平川克美
いま日本で進行している階級的分断について 小田嶋隆
身体を通した直観知を 名越康文×内田樹
体験的「反知性主義」論 想田和弘
科学の進歩にともなう「反知性主義」 仲野徹
「摩擦」の意味──知性的であるということについて 鷲田清一