bluesoyaji’s blog

定年後の趣味、大学入試問題の分析、国語の勉強方法、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

『月3万円ビジネス』藤村靖之著 晶文社 を読んで考えた

 

『月3万円ビジネス』
藤村靖之著
晶文社

がとても面白かった。


月に3万円しか稼げないビジネスには競争も生じません。だから仲間と協力して進めることができます。みんなで生み出して、みんなで教え合う…「分かち合いのビジネス」が実現できるかもしれません。
グローバリズムの未来に明るい絵を描くのは、もはや脂ぎったオジサンだけでしょう。多くの人が真の豊かさを求めて、ローカル化を指向し始めました。やがては経済が地域で持続的に循環する社会に移ることでしょう。

「月3万円ビジネス」というのは、支出が少ない生活スタイルと重ねることが必須です。でも、その生活スタイルが愉しくなくては、不幸せになってしまいそうです。

 

月3万円と聞くと、小銭が稼げる副業を連想するが、そうではない。自分だけ得をするとか、儲けのいい仕事とかと全く逆のことである。
私も脂ぎった人は苦手だが、世の中の主流は、まだグローバリズムであったり、経済発展であったりする。
真の豊かさを求めてローカル化を指向するという考えは、内山節先生の主張とも重なる。詳しくは、『半市場経済』に書かれている。


第二章「月3万円ビジネス」の実例 では、21のビジネスが紹介されている。どれも初めて知る興味深い内容である。
その中で自分でもやってみたいと思ったのは、無農薬緑茶自家栽培ビジネスである。
お茶の栽培には大量の農薬が使われているそうだ。そこで自分で無農薬のお茶を作り、それを飲むと言うことがやりたくなった。ただし、ビジネスではなく、自家消費用にである。
緑茶は健康にも良いそうだし、毎日何杯かは必ず飲んでいるので、無農薬の安全なお茶を飲みたい。また、緑茶の栽培には1キログラムあたり2平方メートルほど必要とあるので、そんなに広い土地は必要でない。田舎であれば、自宅の狭い庭で充分だ。手軽に挑戦できそうである。


第三章 地方で仕事を作るセオリー


僕たちの世代は過激でした。
レーニンや毛沢東の本を読んで、わかったような気分になって「正義」を振りかざしていました。どうやら自分に酔っていたようです。
大きなことばかり叫びます。自己陶酔の極みです。でも余裕がない。余裕がないから攻撃的になり、挙句の果ては孤立して挫折します。
30年もこんな人生を送ってきて得られた教訓はたった一つ。「人は正しいことが好きなのではなくて、愉しいことが好きなのだ」ということでした。
主題は正しさではなくて愉しさーこの方が気が利いているような気がします。いいことを愉しくやる。誰でも参加できます。「大きいことを言うだけ」はオジサンに任せて、いいこと、小さいことをみんなで愉しくやる。小さければ小さいほどいい。その方がすぐに取り掛かれるし、誰も反対しない。結果も出やすい。結果が出ると、広く伝わって多くの人が同調して社会の変容がもたらされるかもしれません

(引用の一部に省略があります)


著者の藤村裕之さんは現在70歳代。学生運動を経験してきた世代であろう。正しいことよりも、愉しいことを追求するという主張に共感した。愉しくなければ持続することが難しい。


私も、長年生きていると、しかたなくするとか、やらなければならないからやるという発想にならされてしまい、やっていて愉しいという感覚が持てなくなってしまう。
また都会暮らしをしていると、自分の手で何かを作ることがなくなり、何でもお金を出して買うことに慣れきってしまう。


著者の勧めるビジネスは、体を動かすことが多い。自分の手で何かを作る。そこに本当の愉しさがあることに気づかされる。


自分の生活を振り返ってみると、ネットで欲しいものを見つけては買い漁ることが多かった。その時は欲しいと思っても、手に入れると必要なものではなかったり、気に入らない点が出てきたりして、使わなかったことをもある。
消費することでストレスを解消していたことがわかった。


なんらかの手仕事をすることで、充分に心も満たされると思う。シンプルなものでも手作りであれば愛着が湧く。


自分には、今すぐ月3万円ビジネスに取り掛かるのは無理であっても、長期的に指向していきたいと考えた。


興味を持たれた方は、ぜひ一読をお勧めします。

 

月3万円ビジネス