bluesoyaji’s blog

定年後の趣味、大学入試問題の分析、国語の勉強方法、化石採集、鉱物採集、文学、読書、音楽など。高校生や受験生のみなさん、シニア世代で趣味をお探しのみなさんのお役に立てばうれしいです。

「論理的に考える/書く」は、人間の本能とは異なるので、身につけるには辛抱強い訓練が必要。安達裕哉 を読んで考えた

 

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人間は元来「論理的に考える」のは苦手である。
脳の構造そのものから逃れることはできない。
逆に「論理的に考えること」は訓練次第で身につく、と考えることもできる。
例えば、国語の勉強である。
「主人公が次のような行動をしたのはなぜか?理由を説明せよ」といった理由を尋ねる設問がある。何回も何回も「○○だから。」と語尾につけて解答し、それにマルバツをつけられていくうちに、「スジが通っている」「通っていない」を徐々に判断できるようになっていく。
「著者のいいたいことは何か?要約せよ」という設問に、多くの人は文中に書かれていることではなく、「自分が思ったこと」を答えてしまう。
中略 

「国語」は非常に重要な訓練の場なのだ。

「学校教育は役に立たない」と言われがちだが、社会に出てから必要な技能の訓練方法についての知恵が、学校教育には数多く含まれている。

ちょっとした「研修」や「読書」で身につくタイプの技能ではないのだ。
従って、もし部下/新人が「論理に弱い」のであれば、それは学校教育と同じような、辛抱強い訓練が必要であることを意味する。

 

ざっくりと趣旨を抜き出すとこうなった。


筆者の意見には同意である。その上で考えた点をいくつか述べたい。

 

高校の国語の授業で行っていること

 

評論では、段落要旨の抜き出しをする。著者の意見や主張が書かれている部分を探し出し、抜き出す。
接続語の「つまり」の後には大事なことが書いてあるから注意する、何度も同じ言葉が出てくると、それがキーワードだから注目する。

 

小説では、登場人物の心情を読み取ることが大切である。
これこれの行動をした、こんな表情だ、といった本文の内容から、客観的に見て、登場人物は「孤独感を感じている」「絶望している」などの心情を考え出す作業を行う。
たとえば、夏目漱石「こころ」で、友人Kが自殺した場面がある。

主人公の私は、Kが残した遺書をその場で読み、自分のことを悪く書いていないことを確認し、そのまま遺書をその場に戻すという行動をとる。
そのときの私の心情を考える。Kが私を非難する内容を遺書に書いていないか、とにかくそれが一番気になる。確かめると、そんなことは書いていない。私はホッとする。

私には自分のせいでKが自殺したという思いがあるので、遺書に自分に都合の悪いことが書いてあると困るからである。逆にそんなことは何も書いていなかった=私はKの自殺とは無関係の証明になる。だから、遺書を元通りに現場に置いておくという行動をとる。
「こころ」を読んだ高校生は、これらのことを問いかけられて初めて気づく。そういう作業を意識的に行わないと、自分で考えて気づくことができない。

 

論理的に考えるようになるには、文章を書くことが一番である。小論文を書いてみることをおすすめする。


具体的には、「型で習得!中高生からの文章術」樋口裕一 ちくまプリマ-新書
第二章 小論文の書き方 の中に、「型を守ろう」という詳しい説明があるので、これを読んでその通りに実践すると書けるようになる。

中高生を対象としている本だが、大学生や社会人で、論理力を身につけたいと考える人に、特におすすめである。

第一学習社や学研といった「小論文・作文」指導に定評のあるところやリクルート等が、社会人向けの小論文添削指導を安価で提供すればよいと思うが、どうですか。

 

型で習得! 中高生からの文章術  ちくまプリマ-新書